論語エンジェルの【誰でも君子になれる論語の現代語訳】

論語の原文を、何のひねりもなく素直に読んで、現代語に翻訳するよ!

問.「成長する為に傷付け合う集団」の方針の主旨がわかっていないか、ズレて捉えている人がいるみたい。それも通過点や個人の自己責任として放っておくべき? それとも、そこはちゃんと共有した方が良い?

答.方針がブレると、集団である意味がなくなっちゃうから、共有しよう!
  方針は叱って押し付けず業務として聴いてもらう形がいいみたいだよ!

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

ちょうさいにおいてきくはさんねん
冢宰において聽くは三年

まとめ役の人に全体的な方針を諭されて身に沁みさせる。という意味。

自分の作業に集中していると、全体が見えなくなる。全体を見てる人の視点は大事!

14-43(357)

〔子張(しちょう:人名)〕

書経に、
「高宗(こうそう:人名)は、喪中の三年は目立った政策を発令しなかった」
とあります。

喪中に自粛するのは、気持ちの面では貴き事でしょうが、
組織のシステムとして、トップがそれで国を運営できるのかは疑問です。

この話が言わんとしている事は、何でしょうか。

 

孔子

まず、高宗と必ず同じ状態になる者が、高宗以外にもいるぞ。

変わらずずっとあるもので安定する事を好む者は、誰しもそうなるのが自然だ。

安定に身を寄せる者は、かねてから長期にわたり親しかった人がいなくなった事に、
波乱をいとわない者やぼっち慣れしている者に比べて、ずっとショックを受ける。

「惜しい人を亡くした」や「突然に別れがあるとは」という辛い感情にプラスして、
その人ありきで日常が構成されていたわけだから、自分の生活の地盤がグラつくのだ。

高宗が特別に貴き行動をしたのではなく、発言できない心境になるのは自然な事だよ。

 

人間にとってそれが自然なのだから、その自然に合わせた組織運営をするのが大切だ。

この話からは、高宗が動けなくても、うまく回るように対策していた事が読み解ける。

 

そもそも、君主が喪に服して動けなくなるだけでなく、急に亡くなられる事もある。

それでも独自の意思を持った大勢の官僚が、バラバラにならずに結束するには、
日頃から官僚をまとめる冢宰の役を設けて、
「何が大事で、何をすべきか」を講習しておく必要がある。

喪中の気持ちの整理が三年でつくように、
全体の方針への理解や自分の仕事の意義も、三年で気持ちの整理がつく。

そのような、人事的役員が必要だという事だ。


≪状況の推測≫
「欠員出るとか効率悪くない?」という者へ、「欠員出ても大丈夫なようにしとけばよくない?」と助言中。

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「まとめ役=偉い」ではなさそうで安心した。「まとめ役=いざという時に独裁権がある」でもなくて安心。
「先生の言う事を聞きなさい、言う通りにしなさい」と大人にいわれたけど、その権利はなかったんだよね。

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問.結構頑張って完璧をこなせるようになったんだけど、完璧にこなせたら褒められるはずだよね? それなのに悪口や減らず口をいわれるのは、羨ましがられていたり妬まれているから?

答.「セオリー通りを良しとする集団」なら、きっと褒められるだろうね。
  でも「成長の為に傷付け合う集団」では起こりうる通過点みたいだよ!

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

かかなすえをしゆくはなんや
果かな末をしゆくは難や

失敗しない事だけでなく、それプラス自分らしくやる事は難しい。という意味。

「間違えなければ完璧」ではない。初心のワクワクを取り戻せてこそ達成といえる。

14-42(356)

孔子さんが、衞(えい:国名)にて、磬(けい)という打楽器を演奏していた。

 

慣れない楽器だったのか、癖やら先入観やらがお荷物となったり、
楽器特有の躓き所に引っかかったりして、うまく演奏できていなかった。

 

 

それを聞いていた、孔子さんのいる家の門番がいった。

〔門番〕

心があるとしか言いようがない磬の打ち方だよ。

 

 

孔子さんが過つ事なくうまく演奏出来るようになった時、門番がいった。

〔門番〕

素朴で単調としか言いようがなく、振り子のようにポンポン方針が揺れ動いているよ。

自分自身が外部の情報に侵食されているような、そんな事を匂わす断片があるだけ、

本当にそれだけだ。

 

詩に、
河の水が深ければ水の圧力に負けず渡り、川の水が浅ければ服を掲げて渡る、
という旨の句がある。

勇敢さと知的さをほのめかしているが、これらは良くないケースとされている。

そもそも、川を渡るなら水位の最も低い時期を選ぶのが賢い選択である。

むしろ、この詩では冬だが、ある特定の時期になら川をリスクゼロで渡れるからこそ、
「この川は渡れる川だ」という概念が生まれているはずであり、
それ以外の時期に川を渡るのは、既存の概念にとらわれているわけであり、
状況に応じているように見えても、その強引さゆえに賢い選択ができたとはいえない。

 

その詩の旨と同じように、この演奏も、
何故演奏するかの根本をないがしろにした上で、とりあえず演奏を続けていて、
演奏をするからには、時に勇敢に、時に知的に、方針をポンポン切り替えて、
ただダラダラと演奏をするよりはマシな演奏法を選択しているに過ぎない。

要するに、この演奏は良くない演奏だ。

 

孔子

彼はよく言い得ている。

始めたばかりの頃は、演奏がままならなかったが、心はこもっていた。

少し慣れてきた今は、演奏はそれなりの形になったが、心は伴えなくなった。

練習の成果の最終形態は、演奏もしっかりとしつつ、心がちゃんと伴う事。

そこへ行きつくのが難しいのだ。


≪状況の推測≫
他者の演奏をきいてまだまだだという者の、演奏の心なさがわかる事に感心中。

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流石孔子さん家の門番だね。普通なら「やっと聞くに堪える演奏になった」って安堵する所なんだろうにね。
既にあるものに沿って腕を磨くと心が置いてけぼりを喰らう。けど、先はあるってのがこの章の希望だね。

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問.長く在籍しているのに、上の立場になれないなんて恥ずかしい。他者をどうこうするのがダメなのはわかったけど、単純に自分に何か頑張っている報酬をあげたい。そんな時はどうしたらいい?

答.もしかすると、所属し続けている事自体がもう凄い事かもしれないよ!
  抜きん出ないのが普通だと考えるなら、十分報酬に値するんじゃない?

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

じはこうし
自は孔氏

所属集団における役割ではなく、所属集団自体がステータスになる。という意味。

役割や上下関係が無いからこそ評価される集団もある。無駄に管理者を目指さない事。

14-41(355)

子路(しろ:人名)が石門(せきもん:地名)の手前で宿をとった時に、
門番に話しかけられた。

 

〔朝の門番〕

自分の個人的な都合の動機で、何と繋がっていますか?

 

子路

自分としては、孔子さんの孔氏です。

 

〔朝の門番〕

ああ、「外部の情報を鵜呑みにしたり実現させたりしない事」を良しとし、
それができた者同士で集う、あの集団の一人ですか。


≪状況の推測≫
孔子さんの仲間だといったら、所属しているだけで褒められ中。

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集団の目的が定かなら、集団の幹部とかトップとかでなくとも、所属しているだけで評価されるって事だね。
良し悪しは別として、それだけで嬉しい肩書きになるから、統治者にならない方が良い肩書きになるかもね。

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問.人として成長しても、その成果を他者の先導に使っちゃいけないのは、どうして?

答.非推奨なのは、不自然な環境を作って、他者を不自然にする事だよ!
  成果は自分に使えば良いさ。他者を利用して自己肥大化するのが禁忌!

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

るびさくするものはしちするひとや
作する者は七する人や

あえて何かの為に何かを作る者は、人らしさを犠牲にするものだ。という意味。

ビーバーが河を犠牲にしてダムを作るように、人らしさを犠牲にして出来る物がある。

14-40(354)

孔子

不自然にあえて作る者は、人らしさを強引にぶち壊すものだ。


≪状況の推測≫
自然にそうなるよりも不自然な何かを作り出そうとする者へ、それは人らしさを壊すと助言中。

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割り切れないから七としたとして七を切と同意としたよ。七の方が刀のない分、切より強引な分断なのかね。
創作は人間らしさによるはずだけど、イレギュラーを求めた場合は人らしくないから評価されるわけなのね。

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問.賢くなった人から集団を統治する側に回って、愚者を先導するべきじゃないの?

答.それは賢くなったのではなく、後ろ盾を得て傲慢になっただけだよ!
  自分よりも他人を見だした時点で成長が止まる。自分の事は自分で!

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

けんのものはへきするよ
賢の者は辟する世

賢い人ほどリーダーシップをとらない。という意味。

賢くなればなるほど、隠者気質になっていく。偉ぶり出す人は賢者ではないので注意。

14-39(353)

孔子

賢者は、数世代しか続かないような流行を避け、普遍的なものを取り入れる。

時の物は、集団としては、帰属意識や連帯感を得られ、
また、普段底に伏している者にもチャンスが巡るギャップとなるが、
自分の自然体を見定めるには、とりまく環境も自然である必要があるからである。

 

それで物足りなくなったら次は、一部の土地を避け、別の土地に移住する。

特定の人物や習慣を避ける目的の他、
集団の構成員が少なければ、それだけ圧力を低くできるという目的もある。

 

それで物足りなくなったら次は、魅惑的なものを避け、簡素かつ質素に徹する。

付き合いや居場所を変えても、誘惑はどこにでも潜んでいるものである。

心を乱すほどの刺激的なものは、心を強くしようとも抗うのが難しい為、
そもそも距離をとっておく事で、自然体を維持しようとするのである。

 

それで物足りなくなったら次は、言語的概念を避け、実体験と感性重視になる。

人間にとって、言語と言語によって伝播する概念は、重要なツールである。

しかし、これほど言語活動に特化した生物は稀であり、自然から見ると特異である。

言語をより活かす為に、また言語の短所を補う為に、あえて言語の無い状態を作り、
人の自然というよりかはその大枠の生物としての自然に触れる。

 

このように、身の脂を削ぎ落していくのが、賢い者のする事である。


≪状況の推測≫
俗世の頂点に立てた者が賢いのだとする者へ、本当に賢い者は俗世から離れると助言中。

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この理屈だと、ぼっち陰キャは相当賢くなれる地位にいるのね。本人の心が不安定だったら無理だろうけど。
孔子さんが熱弁するからには、孔子さんの時代から、賢者はズル賢さを含む智謀者を指していたんだろうね。

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問.傷つけ方のエグい人がいる…。明らかに他の人と違う反応で、どうやら逆恨みをしているみたい。多数決でいうならその人がおかしいって事になるんだけど、注意したりやめさせたりした方が良い?

答.「みんな仲良く集団」や「権力至上集団」なら一言いうべきだけど、
  「傷つけOK集団」なら是非寛大に。自己認識の芽生えの一種らしいよ!

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

みちをしゆくしょうのはいなるがくむはめいなり
道をしゆく將の廢なるが與むは命なり

自分なりの道理を見つけて独りで行う者をやめさせられるのは本人だけ。という意味。

道理は人の数だけ見え方がある。外部はキッカケにはなれても、諭すのはもう不可能。

14-38(352)

公伯寮(こうはくりょう:人名)が、季孫(きそん:人名)に、
季孫に仕えている孔子の弟子の子路(しろ:人名)にひどい事をされたとうったえた。

 

〔子服景伯(しふくけいはく:人名)〕

告白します、これは事実に基づきません。

公伯寮は自分の立場を守る為にやっています。

保身に徹して狭い枠に考えが捕らわれている彼の目指すものは、
事実などお構いなしに計算高く悪いうわさを流し続け、それで環境が変わる事を願い、
子路を処刑して朝廷や市場で首をさらす事です。

 

孔子

やらされている子供でもなく、流されている小人でもなく、
自分でこうするべきだと道理を見つけて、独りでも率先してそれを実現させる。

そのような事ができる者の、何かをはじめたりやめたりする原因は、
その者の命、つまりその者の存在意義としっかり結びついているのだろう。

 

子路の事が気がかりだとしても、周りがどうこうできる問題ではない。

公伯寮がそのような事をするのは、それが公伯寮自身にとって、
生まれてきた意味や生きている間にやるべき事、存在意義に直結しているからだ。


≪状況の推測≫
冤罪を企ててる人がいると告げる者へ、そこまで本気なら大丈夫だと助言中。

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現代だと普通に犯罪だよね。でも現代でも小グループ内の小さないざこざにはこういうのあったりするよね。
異常な独行の中には嘘と現実の区別がつかないだけの「命」を背負ってない人もいる。どの道諭せないけど。

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問.「傷つけ合ってもいい集団」の中に「仕切り屋さん」が生まれて、みんなに傷つけ方のルールやセオリーを押し付けているよ! 「仕切り屋さん」に逆らう人は、余計に傷つけてOKって風潮もできちゃった。何これ普通なの? 従うべきなの?

答.地位と権力というハリボテ概念が生まれた瞬間に立ち会ったようだね!
  おめでとう。権力誇示者とそのとりまきはゴールが違うから離別でOK!

☆★☆ピックアップフレーズ☆★☆

ちのがのもののそれはてんよ
知の我の者のそれは天よ

自分の感性が情報過多で潰れた者は、所属中の集合体に完全服従する。という意味。

この者は、地位と権力なるものを得た事にして他者の感性も潰していくので、要注意。

14-37(351)

孔子

自分の感性がみえなくなり、
代わりに他者から仕入れた外部の情報が侵食しているような人だな、彼は。

 

〔子貢(しこう:人名)〕

自分の感性に外部の情報が侵食したような人は、成長の為に何をしますか?

 

孔子

天、つまり集合体の方針は、通常はそれを構成する各個体の方針と完全一致しない。

むしろ、一部でも重なったら、それは天命という尊い生き甲斐に繋がるレア現象だ。

しかし、集合体に所属している以上、集合体の方針に真っ向から逆らう事はできない。

否応なしに集合体の方針に則る事になれば、少なからず心に歪みや不満が生じ得る。

 

だが、自分の感性が無ければ、心に歪みや不満は生じない。

集合体の方針と完全一致していながら、さわやかな心境でいられるのである。

自分の感性を侵食した情報と集合体の方針に差異があっても、
感性が潰されているのであれば、生じるのは劣等感か疎外感くらいであろう。

痛みの感度は人それぞれとはいうが、心の怪我の重症度で分類するなら、
感性が有る状態で他者の方針に則らされる苦痛は、無い状態のそれより重い。

 

また、小さな異変に対して無頓着になる。

「周りはみんなこうしているけど、本当にこれでいいのかな?」とか、
「人間として、これはやっちゃいけないんじゃないかな?」とか、
そういった直感や勘が働かなくなるのだ。

そのおかげで集合体の方針と一致しても、心に歪みや不満が生じないわけだが、
自分自身の個性を含む、大事なものを見落としてしまうリスクが付きまとう。

 

細かい事が気にならないなら、
他者と違う自分の個性や、世界の不思議にも好奇心が湧かない。

そうなると興味が出る事は、集合体の方針上で自分の立場が重要になる事か、
集合体の方針に更に詳しくなる事だ。

 

その為、集合体のみんなが知っている、もしくは知るべきだとされている事を学び、
その枠からはみ出て学ぶ事なく、そのまま集合体の方針の上級者となる。

 

他者から仕入れた情報が自分の感性を侵食している者がする事は、
天そのもの、つまり集合体の方針の通りの行いだよ。


≪状況の推測≫
感性がなければどう成長するのか問う者へ、感性がなければ行き着く所は一つ最大多数派の頂点だと助言中。

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自分が個体である事に着眼できない場合は、必ず「全ては一つにまとまる」を実践したくなっちゃうのよね。
ゲームやアニメのストーリーでは悪者がそれをしがちね。むやみやたらにばらけさせるのも不自然だけどね!

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